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Chef Greeting

私がフランス料理を学び、気づけば四半世紀が経とうとしています。
シェフを務めた前職場では良い仲間や環境に恵まれ、ミシュランに選ばれるなど一定の評価を受けました。
そのため閉店を決めた時にはお客様や関係者の方々から「なぜ店を閉めるの?」とたくさんの質問を受けました。
この度、新たにファストカジュアルレストラン「汽 [ki:]」をオープンするにあたり、その経緯をお伝えしたいと思いますが、そのときの質問への回答になるのではないかと考えています。
料理人の活動を通じて、自然と食材とその背景に興味を持ち、食材の生産者と交流を持ったことで、自ら野菜づくりもするようになりました。
その結果、レストラン市場での流通や、野菜などが育つ自然環境について考えるようになったのです。美味しい料理というのは、良い素材の個性を引き出したり、組み合わせたりし、調和を図ったものですが、レストランはそれだけでは成り立っていません。美味しい料理とそれに合わせた飲み物、空間やそれを取り囲む人。この相乗効果で、感動的な食事体験をする場がレストランだと思っています。そして、感動的な食事というのは、体験者の感情や感覚によるものです。
そのため、この感情や感覚に訴える演出をするために、レストラン市場では様々な無理を強要している実態があります。
これは身体的、自然環境的、経済的、心情的な無理など、多種多様な無理を通すという不健全な状態といえます。
これが長く続けられるわけもなく、経営的にも、社会や自然環境的にも破綻しようとしています。
まず、こういった無理を取り除いた生産と流通、料理とサービスが、カジュアルなお店でも感動的な食事体験として提供できることを「汽 [ki:]」で実感していただきたい。
共感していただく方が増えれば、わたしたちのような食への姿勢が後押しされ伝搬します。
そういう広がりのある好循環を生むことにより、結果として健康的なレストラン市場を作ることに繋がると信じています。

こう書いていて、あまり新しさもない、いたって当たり前のことを書いているなと私は思っていますが、そう思ってらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
「感動的な?健康的な市場?本当に美味しいの??」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。
毎日の畑で土と水と風と向き合い、フランスを中心にさまざまな国に旅することで異国の料理を知り、美味しい料理を作る術があるわたしたちの「当たり前」は、きっと「感動的な体験」になります。
そして、この「感動的な体験」が、みんなの「当たり前」になって欲しいのです。

Store Name Origin

汽 [ki:]

「汽」という字は、立ち上がる雲を表す象形文字や、水蒸気、水気を含むものという意。
汽水域(海水と真水の混ざるところ)などと使われます。
本来の意味に加えて、わたしたちは「形のないもの」「変化するもの(不安定)」「混ざる様子(不均一)」「広がる様子」という定義を与えました
わたしたちの活動は、異物を不均一に混ぜることで変化を促し、その変化で生まれたものはまた異物となり、変化しつづける。この活動が、雲のように湧き、熱気となり、広がっていくものにしたいと思っています。
この活動の起点のひとつとして、私のルーツのひとつでもり、鴨川と高瀬川に挟まれた五条楽園に「汽 [ki:]」が立ち上がります。

畑では日々時間による移り変わりがあり、旬の野菜が育ちます。
そこにはその野菜を育んだ土壌の環境と、その環境が生まれる背景があります。
毎日の畑作業では環境と野菜の小さな変化に気づきます。
背景を知り自分で変化を生むのが日常。
そうやって育てた料理人だからこそ出来る料理として、その背景も味わえる料理を提供したいと考えています。
もちろん料理だけではありません。
レストランを取り囲む空間や飲み物、人(スタッフやお客様)も日々の変化があり、混じり合うことで、その場の雰囲気が雲や香りのように立ち上がり、それが食事体験として感覚を刺激して感情が生まれる。

ポジティブな感情を生めば、それが感動的な食事体験となり、レストランとそれが生まれた環境や背景への支持に繋がり、良い循環と変化を生むのだと考えています。私達のレストラン「汽 [ki:]」がよい循環の場所になることを願って。

公式Instagramをチェック!

https://www.instagram.com/ki.kyoto/

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